ヨーロッパのカフェ文化を巡る旅|日本との違いと各国の楽しみ方

はじめに

ヨーロッパを旅すると、どの街にも必ずカフェがあります。 しかし日本のカフェと違い、無料のお冷が出てこないことや、アイスコーヒー文化がほとんど根付いていないことに驚かされます。 この記事では、各国のカフェ文化と実際の体験を交えながら、ヨーロッパと日本の違いを紹介していきます。

オーストリア・ウィーンのカフェ文化

世界遺産級のカフェハウス

ウィーンのカフェは「世界遺産級」とも呼ばれ、長居する人が多いのが特徴です。代表的なのはホテルザッハで、ザッハトルテと共にコーヒーを楽しむことができます。

ホテルザッハのオリジナルケーキとダブルエスプレッソコーヒー

ザッハトルテとカフェの歴史

ザッハトルテは1832年にフランツ・ザッハが発明したケーキ。ホテルザッハとデメルの間で本家を巡る裁判があり、最終的にホテルザッハが“オリジナル”と認められました。また、ホテルザッハのカフェでは、珈琲やケーキだけでなく内装も素敵です。19世紀ハプスブルグ帝国自体の雰囲気を再現しているそうです。

赤いベルベッドの椅子、シャンデリア、壁には歴史的な肖像画や写真が飾られており、まるで宮殿で珈琲を楽しんでいる気分になれます。

ホテルザッハのカフェの豪華な内装

独特なコーヒーメニュー

ウィーンのカフェでは、一般的な“コーヒー”という表記は少なく、種類ごとに細かい名前が付けられています。

  • ・クライナーシュヴァルツ:小さいサイズのブラック
  • ・クローサー・シュヴァルツ:大きいサイズのブラック
  • ・ドッペルター・モカ:ダブルショットの濃いブラック

お水は付属品

特にオーストリアやイタリアのカフェではコーヒーとお水がセットで出てきます。これは「珈琲の味を楽しむために口の中をリセットするため」提供されるものなので、喉を潤すためのサービスの水ではなく、あくまでも珈琲の味を引き立てるための付属品です。

フランス・パリのカフェ文化

芸術家と哲学者の社交場

19〜20世紀、パリのカフェは芸術家や哲学者の集まる場でした。カフェ・ド・フロールやレ・ドゥ・マゴにはサルトルやピカソらが通い、ヘミングウェイも執筆に利用していた記録があります。

定番メニューと呼び名

パリのカフェはシンプルな呼び名が中心です。

  • ・カフェ:小さなカップのエスプレッソ
  • ・カフェ・クレーム:エスプレッソ+ミルク(朝食向け)
  • ・カフェ・オ・レ:家庭的な呼び方、観光客向け
  • ・カフェ・ノワゼット:少量のミルクを加えたエスプレッソ

朝のパリの風景

街角のスタンドでコーヒーとクロワッサンを買って仕事へ向かう人々。テラス席で長居する人々。夏にはセーヌ川沿いで日光浴をする姿。これらはすべて“パリの日常”として根付いています。

パリの朝。クロワッサンとコーヒーで始まる一日
夏のセーヌ川で日光浴を楽しむ人々

ハンガリー・ブダペストのカフェ文化

豪華なカフェとカジュアルな一杯

ブダペストはかつて数百のカフェがあり、芸術家や政治家の社交場でした。現在も重厚な老舗カフェが残り、ニューヨーク・カフェは世界一美しいと評されます。

ハンガリーならではのサービス

ウィーンが「水」なら、ブダペストではコーヒーにクッキーなどの甘いお菓子が付くことが多いです。

コリンシア・ホテル・ブダペストのカフェで、朝にゆったりとコーヒーを

アイスコーヒーの意外な出会い

ヨーロッパでなかなか出会えないアイスコーヒー。唯一、ブダペストのカジュアルなカフェでテイクアウトのアイスコーヒーを買うことができました。旅の中で特に印象に残った体験です。

ブダペストのカジュアルカフェで購入したアイスコーヒーは日本と同じクオリティ

アイスコーヒーについて、少し余談になりますが、ミュンヘンの街角スタンドでアイスコーヒーを頼んでみたところ、出てきたのは水のように薄い一杯が出てきました。

イタリア・ローマのカフェ文化

立ち飲みが基本のバール

イタリアではカフェというより“バール”で、カウンターでさっとエスプレッソを飲むのが日常です。

多様なコーヒーメニュー

  • ・エスプレッソ(Caffè):基本の一杯
  • ・カフェ・マッキアート:エスプレッソに少量のミルク
  • ・カフェ・ラッテ:エスプレッソ+温かいミルク
  • ・カプチーノ:泡立てたミルク入り。午前限定
  • ・カフェ・シェケラート:氷と砂糖でシェイクした冷たいコーヒー

長居しない文化

ローマのバールは基本的に“立ち飲み”スタイルで、ウィーンやパリのように長居はしません。ただし観光地のテラス席ではゆっくり楽しむこともできます。

ローマの日常を感じる、バール感覚のエスプレッソ
カフェテリアのテラス席で、街並みを眺めながら味わうローマのエスプレッソ

因みに全世界で人気のスターバックスですが、2018年になってようやくミラノに初出店しました。それほどイタリアは伝統的なバール文化が根強いため、チェーン店が大規模に展開するのは難しく、ミラノに設けられた最初の出店は 「Starbucks Reserve Roastery(リザーブ・ロースタリー)」 という高級・体験型店舗で、「ただのチェーン店ではない」という姿勢を明確に出しています。

ヨーロッパのカフェに入るときに知っておきたい豆知識

1. 席は勝手に座る

多くの国(フランス、イタリア、オーストリアなど)では観光地のカフェや庶民的なカフェは、入口で案内されるより「空いている席に座る」スタイルが一般的です。
※ただし 高級ホテル内のカフェやレストラン併設型の店 では、店員に案内されるケースもあります。

2. 氷を入れて飲む習慣がない

大半のヨーロッパ諸国では水やジュースを注文しても氷が入っていないのは普通で、「冷たい=常温より少し冷やしたもの」を意味することが多いです。
ジュースを注文しても、瓶と氷なしのグラスで提供される事がほとんどですが、まれに、氷入りのグラスが別で出される場合もあります。

レストランでオレンジジュースを注文した際に、グラスに氷が入っており、
好みで入れるスタイルになっています

3. お冷は有料(水や炭酸水を注文)

「Tap water(水道水)」を無料で頼めるのは、フランスやイタリアなど一部の国・地域に限られます。
オーストリアやイタリアのように「コーヒーに添えて小さなグラスの水」が無料で出てくる場合もありますが、これは「味をリセットするための付属品」であって、お冷のサービスではありません。

ホテルでのコーヒー事情(余談)

ヨーロッパのホテルに泊まると、朝食会場にはコーヒーマシーンが置かれていて、エスプレッソやカプチーノなど種類豊富に選べることが多く、驚かされました。最近では日本と同じように客室にケトルとインスタントコーヒーが置かれているホテルもあり、以前にはなかった変化を感じます。
エスプレッソからカフェラテまで、選択肢の多さに驚かされるボタン式マシン
日本ではあまり見かけないエスプレッソマシーン

ヨーロッパのカフェ文化と日本との違い

ヨーロッパのカフェは国ごとに雰囲気やメニューが異なり、オーストリアやハンガリーでは長居して過ごす文化が、イタリアでは立ち飲みの文化が根付いています。日本のようにアイスコーヒーが気軽に飲めない点も特徴的。ヨーロッパのカフェは、ただコーヒーを飲む場所ではなく、その土地の時間の流れを味わう場所でもあります。初めて訪れる人にとっても、一杯のコーヒーがその街の記憶として残っていくことでしょう。

ご自宅で楽しむ贅沢なカフェタイム

ヨーロッパのカフェ文化にはそれぞれの魅力がありますが、日常の中で味わう一杯や甘いものもまた特別なひとときです。そんな時間におすすめなのが、当店の人気商品です。
モカチョコケーキ

甘すぎず濃厚な味わいが特徴の、大人のためのチョコレートケーキ。コーヒーとの相性も抜群で、自宅での贅沢なカフェタイムにぴったりです。

通販20周年記念コーヒーエクラヴィ ~ディナーの後に~

最高品質のケニア産コーヒー豆を使用し、季節や湿度に合わせて焙煎を調整。やさしさと気品を感じる味わいは、ディナー後の落ち着いた時間におすすめです。


監修:ミカド珈琲スタッフ M.Tさん
・J.C.Q.A認定コーヒーインストラクター1級 https://kentei.jcqa.org/
・SCJA認定アドバンスド・コーヒーマイスター https://scaj.org/meister/about-meister
・コロンビアFNC認定 マイルドコーヒー鑑定士 https://cafedecolombia.jp/mild-coffee-specialist/