
トロフィーと表彰状を掲げた山﨑焙煎士
ジャパン コーヒー ロースティング チャンピオンシップ 2025は、SCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)主催の国内最高峰の焙煎競技大会。焙煎技術のさらなる向上に大きく寄与すると判断し、優勝者を世界※1へ送りだすべく、日本市場における選考会として「ジャパン コーヒー ロースティング チャンピオンシップ」(JCRC)を開始しました。 予選は2025年11/14(金)~16(日)の3日間84名で行われ、12名が決勝に進みました。 決勝は2026年1/16(金)〜19(月)の4日間で行われ、その中で、弊社の山﨑は総合3位に入賞いたしました。
※1:ワールドコーヒーローストチャンピオンシップ(WCRC)
今回、ブログを執筆するにあたり、山崎焙煎士へのインタビューを行いました。(ブログは2回に分けて掲載いたします。)

山崎焙煎士

山﨑焙煎士プロフィール
・社歴・焙煎歴20年
・J.C.Q.A.認定 生豆鑑定士マスター
・J.C.Q.A.認定 コーヒーインストラクター1級
・SCAJ認定 コーヒーマイスター
・SCAJ サーティファイド スペシャルティコーヒーカッパー
・コロンビアFNC認定 マイルドコーヒー鑑定士
目次
ジャパン コーヒー ロースティング チャンピオン シップ2025
・日本決勝・概要 ▼
・見どころ ▼
・決勝競技内容 ▼
山﨑焙煎士へのインタビュー
・JCRCに出場するまでの経緯 ▼
・決勝大会のタイムスケジュールに沿って ▼
・今後にむけて ▼

ジャパン コーヒー ロースティング チャンピオン シップ2025
※以降JCRC2025と表記
・日本決勝大会・概要
・主催:SCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)
・日程:2026年1/16(金)〜19(月)
・会場:奈良県天理市 大一電化社奈良本社
優勝者には2026年6/25 ~ 27にベルギー・ブリュッセルで開催予定の「ワールドコーヒーロースティングチャンピオンシップ2026」(WCRC2026)※以降WCRCと表記 に、日本代表としての出場権が与えられます。
※競技会について コーヒー業界では、SCAJ主催の競技会がいくつもあります。歴史のあるものはジャパンバリスタチャンピオンシップ(JBC)など、どの競技会も日本大会の優勝者は世界大会に出場する権利があります。

・見どころ
コーヒー豆の外観からそのコーヒー豆を正しく鑑定できるかということも含めて、実践的な課題をこなします。出題された豆に対して「どのような風味や特性のある味わいに仕上げるのか」コーヒーの組み合わせ、焙煎に仕上げるかを『焙煎プラン』を事前に申告した上で焙煎に挑む点が見どころです。
競技最終日に、競技者が事前申告したコーヒーの予測テイストと、コーヒーの記述度精度評価と照らし合わせ、最も近い焙煎コーヒーに仕上げ、全ての合計で高得点を出した方が優勝者として認定されます。

・決勝競技内容
1)生豆の鑑定
2)焙煎プラン提出
3)焙煎後
①シングルオリジン、と②ブレンドを提出
※WCRC2025 Rules and Regulations(R&R)に準ずる。
感覚的な評価ではなく、国際基準に基づく審査です。カッピング審査員は総勢12名。
◆詳細は以下競技者募集ページを参照
https://scaj.org/activity/competitions/jcrc/jcrc-2025-competition

山﨑焙煎士

山﨑焙煎士へのインタビュー
・JCRCに出場するまでの経緯
Q – 初出場で3位入賞、おめでとうございます。素晴らしいですね。 初参加にあたり、どういう意気込みで挑戦されたのでしょうか。
山﨑焙煎士(※以下Y) 「JCRC2025」に出場するにあたり、優勝して世界大会まで行くつもりで準備をしてきました。(そういう点では悔しいです。)」
Q – 通常の焙煎業務に忙殺される中、どのように(2025年)大会を目指すよう準備等をされていたのでしょうか。
Y -「2022年くらいからチャレンジするための準備として具体的には、SCAJのローストマスターズ委員会主催の ”焙煎合宿(リトリート)” の講座を受講。2022年9月のSCAJ展示会内で行われる「ローストマスターズ」大会で ”東京Bチーム(7名)”に所属、チームチャレンジにて出場し経験を積みました。焙煎の大会のみならず、カッピング(コーヒー豆の品質を評価する)の「テイスターズ・チャンピオンシップ」大会に出場する方達とも人脈を広げて情報収集をしてきました。」
Q – イベント参加やセミナーに参加されたことでどういう点が補われたのでしょうか。
Y -「人脈を増やすことで他社とのつながりを構築できました。例えば、トレーニングでローストしたサンプルを試飲してもらい、評価を落とし込むことで、トライ&エラーを繰り返し、検証していき大会に挑みました。」
Q – 今回、大会にて使用する焙煎機が日本に4台しかない※タイプの「電気式」の焙煎機、ということだそうですが、どうされたのでしょうか。(※2026年2月現在)
Y -「東京・高輪ゲートウェイ、ニュウマン高輪内のカフェ” Sow Coffee Roasters” さんにて5回と、静岡県浜松市の自家焙煎 “バニー ビーンズ ロースタリー”さんにて1回、焙煎機を使用させていただきお世話になりました。」
Q – WCRC ロースト プラン スコアシート」=大会の記入フォーマットを見せていただきました。とても細かいシートのように思いましたが。
Y -「時間内に生豆の段階でのポテンシャル(味の多様性)をイメージし、サンプル焙煎後は、実機ではどういう味なのかを描写し、予測をきちんと立て、□にチェックを入れ、印象を細かく記入することは慣れも必要です。
Q – 慣れといいますと…?
Y -「Q-グレーダー」※のフォーマットが、この大会の記入フォーマットと同様なので、慣れている人は優位です。実は決勝に残った競技者はほどんどがこの資格を事前に取得されていたことに気づきました。」
※スペシャルティコーヒーの品質を、世界共通の基準で評価できる国際コーヒー鑑定士の資格。
Q – 課題として、与えられたコーヒー豆を「焙煎したらこのようになりました」という味を、審査員の人達が「おいしいです。」と採点するという競技会ではないのですね。
Y – 「(競技者が)事前に提出していた味わいについて記述していたものと、(規定)時間内に焙煎したコーヒー、シングルオリジン、ブレンドコーヒーと、味わいが合致するこ とがまず求められ、その上で風味の優劣も採点されるのです。」

・決勝大会のタイムスケジュールに沿って
Q – それでは、競技会のスケジュールに沿って、少し細かくおうかがいします。 決勝に使用される豆は、当日発表されるそうですね。
Y -「シングルオリジンは「ケニア」。ブレンド用の豆は3種、「エチオピア」、「グアテマラ」、「ブラジル」でした。」
- ● 使用豆詳細はSCAJROASTマスターの公式Instagramから
-
【シングル】
生産国: ケニア
• Farm / Factory: Mitondo Coffee Factory
• Owner: Mwerua Farmers Cooperative Society
• Region: Kirinyaga County
• Altitude: 1,486 m
• Varieties: Ruiru 11, SL28, SL34, Batian
• Process: Washed【ブレンド】
① 生産国: エチオピア
• Farm / Washing Station: Shantawane CWS
• Owner / Operator: Local Smallholder Farmers
• Region: Sidamo, Bensa, Shantawane
• Altitude: 2,150 m • Varieties: Ethiopian Heirloom
• Process: Washed② 生産国: グアテマラ
• Farm: Finca Filadelfia
• Owner: Daniel Dalton
• Region: Jocotenango, Sacatepéquez, Antigua
• Altitude: 1,597-2,214 m
• Varieties: Bourbon, Caturra, Villa Sarchi • Process: Fully Washed③生産国: ブラジル
• Farm: Rancho Dantas • Owner: Noeli de Paula
• Region: Espírito Santo Mountains
• Altitude: 800-1,100 m
• Variety: Catuai
• Process: Pulped Natural
Q – 1日目(1/16・金)、最初の競技「生豆鑑定」とはどういうことをするのでしょうか。
Y -「生豆の密度値、水分値、カラーの状態、スクリーンサイズの選定、欠点の識別、これらを正しく鑑定する項目です。
Q – その後は、どのように準備をすすめるのでしょうか。
Y -「制限時間内に、「Link Roaster」で豆をテスト焙煎しそれぞれの豆をカッピングし、自己評価します。 その後、翌日(2日目:1/17)の実機で「(生産)焙煎」する為のローストプラン(焙煎計画書)を事前に作ります。 例えば、「シングル」=ケニアの場合 / 色み(Color Reading)についてもカラーを計る装置にかけ数値化して判断し、焙煎後、競技者が予想したように実現したかどうかは、評価を左右します。 例えば、ケニアの「質感」があっていなかったりするとだめであるし、 抽出後30分近く経ち、冷めてからはどうなるのか。甘さ(Sweetness)、余韻(Aftertaste)は、印象がどう変化するのか等を細かく描写し、実現した味と照らし合わせます。 ブレンドについても同様です。」
Q – なるほど、それは本当にシビアですね。
Q – 2日目(1/17・土)はどのような競技内容でしょうか。
Y -「実機(Stronghold 8X)にて焙煎をしました。 シングル(ケニア)ですが、制限時間は30分。2kgを焼いて、1.5kg以上を提出します。 41秒タイムオーバーしてしまい、減点(10点)になってしまいました。 本当は2バッチ(2回焙煎)したかったのですが、計画よりも少し長めの焙煎を選び、 味づくりを重視しました。」
Q – たった41秒のタイムオーバーで、そんなに多く減点されるとは...。
Y -「(シングルの後は)ブレンドですが、制限時間は1時間。3種の豆を用い、それぞれ10%以上の含有量でブレンドを作成。1.5kg以上を提出します。私は、1バッチ10分と次の準備を併せて15分。3種の豆があり、それぞれ焙煎するの で、3バッチ=計45分。残りの15分で、ブレンドし、ハンドピック。サンプルを作るという作業になりました。」
Q – ブレンドは、プレミックスにするのか、アフターミックス(post-blend)にするのか、その両方とも取り入れるのか、3種あるそうですが、競技者により異なるそうですね。アフターミックスの方を選ばれたのは、理由がありますか。
Y -「(アフターミックスにしたのは)その分手間と時間もかかる手法なのですが、私は立体的な味(を創り出すということ)を目標にしていたのでそうしました。」
Q – [3日目] (1/18・日): は、2日目に焼かれた豆のカッピング・ジャッジ(審査)が、丸一日をかけて行われました。 審査は、WCRC2025 Rules and Regulations(R&R)に準ずるもので、感覚的な評価ではなく、国際基準に基づく審査であるそうです。 審査員は何名なのでしょうか。
Y -「特別ゲストとして、海外のコンテストで審査員を務める Mr. Joe Hsu (台湾)、そして11名の審査員(ジャッジ)の方達がいました。」
- ● 審査員の詳細
-
【審査員(ジャッジ)】
・Joe Hsu : Orsir Coffee(台湾)=特別ゲスト・木戸田 直子:Starbucks Coffee Japan
・本池 達也:FUKUSHIMA COFFEE
・石井 利明:AMAMERIA ESPRESSO
・小林 美和:Wakoya Co., Ltd
・真継 典子:Mel Coffee Roasters
・西村 飛佑馬:REC COFFEE
・栗原 健 : KURIHARA COFFEE ROASTERS
・中島 理沙:COFFEA EXLIBRIS
・佐藤 優貴:WOODBERRY COFFEE
・山本 圭太:ARCHIVE COFFEE ROASTERS
・山本 明子:warmth
Y -「審査の後、出場者達も、ブラインド(誰が焙煎したのかを伏せて)カッピングをしました。」

カッピング
Q – [4日目] 1/19(月):
・表彰式
1位:仲村良行(豆ポレポレ・沖縄)
2位:中村純也(なかむら珈琲・三重)
3位:山﨑 健(ミカド珈琲商会・東京)
Q – 4日目は、結果発表〜表彰式があったのですね。あらためまして、山﨑さん3位入賞本当におめでとうございます。
Y -「ありがとうございます。」
Q – 表彰式の後に、この競技会において「大事なこと」が行われたと聞いております。それは、どういうもので、どのような意義があるのでしょうか。
Y -「競技者とジャッジ(審査員)による、デブリーディング(答え合わせ)がありました。”なぜこの点数なのか。なぜこの評価になったのか” を検証することこそ、この競技大会、しいては(日本の)焙煎のレベルをより良いものへ磨きをかける、重要な過程になるものだ と思います。」
Q – この答え合わせの部分、今大会の「審査」(ジャッジ)について、少しおうかがいします。ブレンドの味の評価が一番高かったのは、山﨑さんの焙煎したコーヒーだそうですが、それはどういうことなのでしょうか。
Y -「先ず評価の説明を致します。センサリージャッジ(審査員)3名の合計点でカッピング評価をされます。また、それを取りまとめをする、ヘッド・ジャッジ(審査員長)により合計評価されます。その中で、”Affective coffee Evaluation(官能評価)”点数と、”Accuracy coffee Descriptors(記述精度評価)”の点数に分かれていてそれぞれ評価されます。
※記述精度の方は、競技者(私)が事前に提出した予測テイストと実際のカッピング精度となります。
前記したAffective coffee Evaluation(官能評価)の3人の合計とヘッドジャッジの評価では、私が最高得点でした。
ちなみに、記述精度評価は1位の仲村さんが最高得点でした。」

・今後にむけて
Q – 今回初出場で3位入賞、とても素晴らしいと思います。(次回のチャレンジの有無も含めて)今回のジャパンコーヒーロースティングチャンピオンシップ2025 参加について、山﨑さんから締めのお言葉をお願いいたします。
Y -「このたびの”ジャパンコーヒーロースティングチャンピオンシップ2025”出場にあたり、会社そして社員の皆さんの理解と支え、さらに社内外の多くの方々のご協力がなければ、この結果にはつながらなかったと感じております。心より感謝申し上げます。今回得た経験を大切な財産とし、次回もまた本大会に挑戦できるよう、日々研鑽を重ねてまいります。」
Q – 本日はどうもありがとうございました。ミカドコーヒーの心臓部、焙煎工場の技術力の高さを証明していただいたと思います。これからも毎日おいしいコーヒーを焙煎し続けていただくことと、次回の大会でのご活躍をミカドコーヒーの社員一同、期待しております。
■予告:「ブログ・part2」は、JCRC2025で3位入賞、高評価をいただいた、彼の「ブレンドコーヒー」を、発売できることになりました件を、お伝えする予定です! 皆様、こうご期待!
1/30 三郷でインタビュー時の写真
【焙煎の様子】この記事を書いた人:ミカド珈琲オンラインストアスタッフ:M.Tさん
・J.C.Q.A認定コーヒーインストラクター1級 https://kentei.jcqa.org/
・SCJA認定アドバンスド・コーヒーマイスター https://scaj.org/meister/about-meister
・コロンビアFNC認定 マイルドコーヒー鑑定士 https://cafedecolombia.jp/mild-coffee-specialist/